2025年01月15日 [日常あれこれ]
下克上注意報 と めざせ!肛門腺マスター
こんにちは、獣医師の大野です。
↑みずひきの とりさんが きになるにゃ
鏡開きも終わってしまったぐらいですが、新年最初の投稿ですので
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
今年はへび年だそうで、へびは脱皮をすることから
新しい挑戦をする年とのこと。
挑戦しようにも物価高でそれどころじゃないですけどね〜
物価が高いのに、上昇率が反映されない私の今年のお年玉
↑中身が少ないのを外側の袋に凝ることで誤魔化すのはお金がない者の常套手段です。
私には子供はいないですが、周りを見渡すと
「少子化ってフェイクニュースでは?」ってぐらいいるもので・・・。
ごめんよキッズたち・・・投資でもして増やしておくれ
先日、私を除く女性陣の腕相撲大会を開催しました。
剣道歴があり子育てや家事で腕力を使うことが多い35歳の馬場さんと、
運動歴はないけれど隠れて特訓したりしていそうな25歳の小池さんと、
バスケを今も時々していて腕がとっても長い22歳の黒田さん。
どういう順位になったところで別にビックリしないっていうぐらい
差がなさそうなこの3人。
真面目に取り組んでもらうために自腹で景品を用意して対戦してもらいました。
↑コチラ。ちょっと高級なハンドクリーム。
塗った直後からそのまま料理もできるらしいです。
結果は
1位 黒田さん
2位 小池さん
3位 馬場さん
若い順ですね。私の予想は馬場→小池→黒田だったので全然当たってませんでした!
優勝者・黒田さんのヒーローインタビューしようとしたんですが、
なんだかムーミンのように恥ずかしがってしまい出来なかったため
彼女と親交が深く、しかも現場にいた大会関係者Xさんにインタビュー。
↑ネコ語しか話せないX氏。イニシャルも明かせません。
X氏の証言によると
・「腕へし折ってやるぜ!」という顔をしていた(顔だけ)
・数日前から大会主催者に「イメトレしといたほうが良いですよね?」と語っていた
との情報が!どうやら黒田さんは満を持して大会に臨んだようです。
これはもしかしたら3人の関係性に変化がみられるかもしれません。
下克上もあり得ます。強い奴が正義ですから、最年少の黒田さんが天下を取って、
「コーラ買って来い!」みたいなことになる日が・・・来ないとも言い切れない!
今のところ私が3人に負ける気配はありませんが、
下克上されない様に気を付けなきゃな〜と思いました。
ついでに今のところ院長と引き分けなので、倒せるように頑張りたいです。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
当院に来る患者さんの来院理由で一番多いのは
恐らく【爪切り・耳掃除・肛門腺絞り】です。
この3つは当院でワクチンなどの予防をしている方に関しては
再診料に含まれていますので、実質無料となります。
この3つ、月1回程度はしてあげたほうが良い処置ではありますが、
でも本当はこれ、医療行為ではなく日常ケアの中に含まれるものです。
別に病院でやっても全然かまわないんですけど、
慣れてしまえば難易度はそれほど高くありませんし、
自宅で出来ればな〜と思ったことありませんか?
スタッフにも聞いたところ、上記3つの処置の中で最も簡単にできるのは
全員一致で【耳掃除】です。
耳掃除に関しては綿棒などを使用せずに、指で届く範囲の汚れを
湿らせたコットンなどで拭いてあげれば十分です。
生き物ですから、どうしたって【生きとし生けるものの汚れ】や
【生きとし生けるものの臭い】は多少出てしまいます。
何度拭っても汚れがとめどなく出てくるとか、
顔をしかめるほどの悪臭がするようであればそれは診察が必要です。
耳掃除を異常に嫌がる子も時々いますが、そういう子たちの多くは
「耳の病気で痛みがある時に無理に処置をした」など
トラウマになってしまった場合です。
なので、とっても嫌がってしまう場合にもやはり受診が必要だと思います。
残りの2つ、【爪切り】と【肛門腺絞り】に関してはどちらが難しいかは
意見が割れるところです。
私と黒田さんは爪切りのほうが難しいと思っていますが、
院長と小池さんは肛門腺絞りの方が難しいのでは?とのこと。
この2つ「家でもできます」と言われるのは爪切りのほうが多く、
特に猫の爪切りは技術というよりは単に双方の慣れと信頼関係の問題ですので
出来る人もそこそこいます。
でも肛門腺は「家でできます」をあまり聞きません。
そもそも肛門腺って、その存在自体が謎ですよね。私たち人間にはないですし。
そんなわけで、今日は肛門腺について書いてみようかな〜と思います。
肛門腺は犬や猫のお尻にあるにおい袋のようなものです。
お尻と言っても、しっぽを持ち上げて見えるようなものではありません。
肛門に人差し指を突っ込んだと仮定しましょう。第一関節まで入れると
4時と8時の方向に左右1つずつ指の腹に触れるのが肛門腺です。
大きさは体格や中身のたまり具合にもよりますが、
しっかりたまっていると仮定すると、猫や5`犬で枝豆1つ分ぐらい、
10`台の中型犬でソラマメぐらい、大型犬だと巨峰ぐらいあります。
当たり前ですけど1粒分ですよ?1房じゃないですよ?
この袋状のものに臭い液体がたまります。
この液体は何のために溜まっているのかはっきり言って謎です。
が、一説によると【自分の臭いをマーキングするため】とかなんとか。
確かにマーキングにはもってこいです。なにせ強烈なにおいがしますし・・・。
森の中などで野生動物として生きるにはよいでしょう。
どんなに強烈なにおいがしようが、大自然の消臭能力なら受け止められます。
やはりどんな消臭剤と比較しても、自然の消臭能力は偉大です。
生ごみやウンコのゴミでどんなに悪臭がしていても、
その辺に生えている草をひとつかみ引っこ抜いてきて入れておけば、
もうごみ箱の中の臭いはほとんどしなくなります。
でも家の中で、それも水で洗えないような畳とか布のソファーとか
高級絨毯とか、そんなところに肛門腺の中身が付着した日にゃ・・・
もう一日お通夜みたいな気持ちで過ごすことになるのは必至です。
「肛門腺って絞らないとどうなりますか?」と時々聞かれます。
最も嬉しいのは「別に何も起こらない」で、こういう子も一定数います。
最も悲しい結末は「肛門腺が破裂する」で、これも年に数件見かけますが、
そもそも雑菌などは多い場所でしょうが、
大量に溜まってるとより感染を起こしやすく、お尻の皮膚を突き破って臭い液体が出てきます。
つまりお尻の穴が2つになる・・・お察しの通り、とても痛い。たぶん。
どんな感じかよくわからない!という方へ・・・
閲覧注意ですが、参考までに肛門腺破裂するとどうなるのか、写真載せます。
苦手な方は急いでスクロールしましょう!
」
↑左の肛門腺が破裂した猫。5日前からご飯を食べなくなっていたようで、
恐らくそのころからお尻が痛かったと思われます。数日前からお尻を舐めていたとのこと。
肛門は星印のところにあります。
大きな穴が開いて、内部を洗うと膿や壊死した組織が出てきます。
穴の周囲の赤い点線で囲った部分は血色が悪くなっており
恐らくこの部分の皮膚は壊死していずれ取れます。
壊死した組織が辺縁にある限り穴は塞がらないので
積極的に削り落とすこともあります。
この段階では感染や痛みをコントロールすること、そして何より
エリザベスカラーを装着して絶対に舐めないように管理することが大事です。
↑4日後。
この子はうまいこと勝手に壊死した組織が脱落したようです。
穴の周りをもう少し削って新鮮な皮膚だけにします。
感染のコントロールもできて膿の排出も終わっていたので穴を縫って塞ぎます。
穴が小さければ縫わずに自然に塞がるのを待ちますが、
この子は流石に穴が大きすぎるので・・・
↑こんな仕上がりになります。
この後1週間ぐらいで抜糸ができました。
肛門腺を絞らないでいて一番多いのは、「肛門腺を気にしてお尻をこすって歩く」ということと、
「びっくりした時など肛門腺が飛び散って周りが大惨事になる」かな〜と思います。
いずれにせよこすった床とか飛び散った壁は臭くなる可能性があります。これは悲しい!
↑お尻を擦って歩くってこういうやつです。前足は床につけて、後ろ足は持ち上げて
前足をバタバタさせながらこのまま前方に進んでいきます。
我ながら上手く描けた♪
というわけで、肛門腺は絞った方が良いと思います。
物事にはいろいろ賛否両論つきものですが、
「肛門腺は絞らないほうが良い」という意見は聞いたことありません。
まあ、猫は半数程度は発狂するほど嫌がったりするので
そういう場合はやらないほうが良いかな…という子もちょいちょいいますが。
それなら肛門腺を絞ろうではないか!となるのですが、ここから先は
かなり個体差があります。肛門腺って【個性】だと思う・・・
@たまる速さ
先ほど月に1回ぐらいは〜と書きましたが、これはとても個体差があります。
しっかり肛門腺絞りをして中身をすっからかんにしても
1週間でまたたまってしまう子も結構な数存在しますし、
逆に半年に1回しか絞らなくても平気な子もいます。
液体がたまる速度はおそらく体質的なところが関与しているので、
コントロールするのは難しいと思います。
時々、フードの変更などでたまりやすさが変化する子もいますので、
どうしても溜まらないようにしたい場合には片っ端から試してみるしかありません。
A溜まっているものの質
肛門腺の中に溜まっているのは基本的には液体なのですが、
サラサラの液体だったり、ねりわさびぐらいの硬さだったり、
固い子だと「一晩キャップをせずに放置した絵の具」ぐらいになったりします。
サラサラだととても絞りやすい反面、ちょっとした拍子にあの臭い液体が勝手に飛び出すので
「サラサラだね!良かったね!」と単純には言えません。
ねりわさびぐらいがちょうどよい気もしますが、
個体にによってはマスタードのように粒々が入っている子たちもいます。
そうするとこの粒々が肛門腺の出口のところに塞がって詰まってしまうこともあります。
理想を言えばあまりサラサラじゃないけど粒々してないのがいいのでしょうけど、
その微調整は難しいので天に運を任せる感じですね。
理想的な質だったらガッツポーズでもしておきましょう。
絞らなくても平気な子は、そもそも溜まりにくいという可能性もありますが、
排便時、ウンコが肛門から出ていく際にいい感じに肛門腺を押して
自然と中身が絞られて、臭い液体がウンコに付着して排泄されている場合もあります。
大型犬など大きめなウンコを出す、サラサラタイプの子に多いと思います。
B溜まっているもののにおい
これも個体差があります。
「生臭い」とか「香ばしい」とかいろんな表現の仕方がありますが、
共通して言えるのは「まず間違いなくクサイ」と言うことです。
臭くない肛門腺は・・・出逢ったことありません!
C絞りやすさ
これも個体差があります。が、絞る前から何となく想像がつきます。
絞りにくいのは
・尻尾が短い(というよりほとんどない)子
・お尻に肉がたくさんついている子
・去勢手術していないオス犬
肛門腺は正面(肛門側)から見ると4時と8時の方向にありますが、
体の横側から見た時にはやや頭側の方に寄っています。
なので、肛門をどんなに掴んでも、肛門腺が頭側に逃げてしまっていると
中身を絞ることは出来ません。
ですので、絞る際に大事なのは絞るのとは反対の手で
尻尾を頭側に倒すことです。
これをすると肛門腺が肛門側に少しずれるので
格段に肛門腺を掴みやすくなります。
↑指を肛門腺の向こう側に届かせたい!。
絵が下手で指突き刺さってますけど、あくまでイメージです。
が、純血犬の中には生まれてすぐに尾をちょん切って短くしてしまうものがあります。
これを断尾(だんび)といいます。
そもそも何のために断尾するのか・・・と思い調べてみたのですが、
一瞬納得させられそうな
「怪我をするのを防ぐ」とか「糞便で汚れるのを防ぐ」に関しては
「そんなのどの犬種も同じだろうよ」と思うので却下、
それ以外の理由では「見た目の問題」「種の伝統を受け継ぐため」らしいので
多分こっちの理由な気がします。
断尾は仔犬の時に無麻酔で行われるらしく、
「尻尾切って痛くないの?」という疑問が生まれますが、
一応「生後すぐに切るので神経が発達する前だから痛くない」
・・・と言うことになっているようです。
ただ、断尾の現場で実際に仔犬を観察するという研究では
鳴いたりもがいたりなどの痛みに対する反応が全ての仔犬で見られたらしいので
多分痛いんだと思います。だから正しくは
「痛くないから大丈夫」ではなく「覚えてないだろうから大丈夫」だと思います。
断尾の仕方も犬種によって違うようで、
トイ・プードルやミニチュア・シュナウザー、ジャック・ラッセル・テリアなどは
ある程度掴めるぐらいの長さを残した状態で断尾されていますが、
フレンチ・ブルドッグ、ブルドッグ・ウェルシュ・コーギーなどでは根元から切っていることが多く、
こうなると全く掴めませんので肛門腺絞りもとても難しくなります。
切るにしても少し残しておいてよ・・・というのが正直な気持ちです。
また、お尻周りに肉がたんまりついていると肉が邪魔して肛門腺を摘むことが出来ませんし、
去勢していないオス犬の場合はオスのホルモンの影響で
肛門周りの筋肉が発達しすぎていることが多く、
そうなると筋肉を掴んでいるのか、肛門腺を掴んでいるのか、正直よくわかりません。
何となく肛門あたりを掴んで絞ってみて、
全くでない時、あるいは少ししか出なかった時に
「そもそも溜まってない」とか「全部絞り切った」とかがこれらの犬では判断できないので、
「本当はもっと溜まっているのに絞り切れていないだけ」
の可能性も十分あります。
こういう絞りにくい子の肛門腺を絞る場合に一番良いのは、
【肛門の中に指を突っ込んで、肛門の内側と外側から絞る】方法です。
これなら確実に肛門腺を触ることが出来るので、絞り切ることも可能です。
以前、肛門腺を絞りにくい子で何度か実験をしてみたことがあります。
最初は通常の絞り方で、「もう1滴も出ない!」というまで絞ってみて、
2回目には肛門に指を入れて絞ってみる方法です。
絞り切れなそうな雰囲気を漂わせているお尻の犬10匹以上試してみた結果、
結論から言うと1回目で絞り切れてることはありませんでした。
絞り切ったと思っていても実際には絞れておらず、
印象としては2回目は1回目の2〜3倍出る感じでしょうか。
ということは・・・こういう子は絶対肛門に指を入れて絞った方が良い!
ただし、この処置に関しては当院は500円の追加料金がかかってしまいますので、
「肛門腺が毎回ちゃんと絞りきれているか気になる・・・」 という方は、
一度お声掛けください。生絞りします。
もしそれで2回目にも出ない場合には、1回目で絞りきれるタイプと言うことですから
次からは無料の範囲の肛門腺絞りでOKと言うことです。
というわけ、通常絞りバージョンの実践編!
一番最初にすること、それは準備です。
ティッシュは箱ごとの方がたくさん使えるのでいいでしょう。
また、肛門腺が肛門周りに付着した時に拭く
動物用のウェットティッシュなんかもあると便利です。
私は動物用のウェットティッシュは高いので
↑コチラをよく使用します。ほぼ同じだと思います。
次に動物を少し高い所に立たせます。
モデルに抜擢された太郎くん。何か楽しいことが起こるのかと
期待のまなざしを向けています。
かわいそうに。楽しいことは何も起こらないよ。
お尻の写真を撮られて、肛門をつかまれる未来が待ってるだけよ。
薬を飲ませる時や爪を切る時も、床ではなく
すこし高い所に立たせた方が逃げられる可能性が減ります。
猫はそのままで構いませんが、犬は落下するとケガをしますので
出来れば散歩用のリードを付けてリードを利き手と反対の手に巻きつけておけば
いきなり飛び降りて骨折・・・というのを回避できます。
おすすめなのは、お風呂に蓋をしたその上です。
ここならそこまで高くないですし、仮に飛び散って周りが汚れても掃除がしやすいですし、
絞った後そのままお尻周りだけ洗ったり、もしくはシャンプーに移行したりも出来ます。
※ただし、蓋が外れて浴槽にダイブしないように注意!
また、本音を言えば初心者はティッシュなどを使わずに素手で絞る方が分かりやすいので、
手が汚れる覚悟で絞ると感覚がつかめると思います。
先ほどから「超臭い」と何度も書いていますが、でも幸いなことに
肛門腺の臭さは「洗っても取れない!」みたいなことは全くなく、
石鹸で洗えば手に付けてしまった罪は見事に消えます。ご安心を。
では実際に絞ってみましょう!
利き手じゃない方の手で動物の尻尾をつかみます。
そして、掴んだ尻尾を頭側の方に出来る限り反らせます。
あまり持ち上げると痛がる子もいますが、痛がる様子がなければ
↑これぐらいまで持ち上げると絞りやすいと思います。
2人以上いる場合には、補佐の人は動物の顔をよしよししながら
お尻の方を振り返らせない様にしましょう。
↑太郎くんはとても良い子なので、「なんだなんだ?」って振り返って
鼻先で邪魔してくる程度ですが、普通に噛んでくる子も結構いますので、
お持ちでしたらエリザベスカラーをつけるのもありです。
もし自分1人しかいなくてカラーもない場合には、動物が振り返らない様に、
動物の体に自分の体を沿わせて、肘で体を抱え込みつつ尻尾を掴みます。
↑尻尾を掴んで体も固定しているにもかかわらず、
利き手を肛門腺絞りに専念させられる喜びから出るピース
サラサラタイプで中身がパンパンな子はこの段階で中身が出てくる子もいます。
中身が出て来なくても4時と8時方向にコリコリしたものが触れるかもしれません。
あとは肛門の4時と8時方向を奥から手前に絞り出すように摘みます。
↑こんな風に肛門の4時と8時方向の、肛門より1センチ程度離れたところを触り、
絞る前にこの2本の指を動物の頭側に1センチぐらい押し込んで
押し込んだ奥の方から肛門に向かってゆっくり絞り出します。
説明がとっても難しいですが、まあざっとこんな感じです。
因みに2本指同士をくっ付ける(掴む)際の強度ですが、結構強めです。
私は時々飼い主さんの腕を肛門に見立てて、同じぐらいの強度でつねるのですが、
皆さん「痛い!」とおっしゃるので多分結構強めなんだと思います。
もしよくわからなければ、お連れていただいた際にお教えします。
また、「やってみたけどできなかった」という方、たくさんいらっしゃると思いますが、
この技術、数をこなせば出来るようになります。自転車乗るのと同じような感じです。
乗れるようになったらどうしたら乗れないのかよくわからない、それと一緒です。
肛門腺絞りは獣医大学に通っていてもやり方を教わることはないので、
仕事を始めた時は全く絞れません。
でも、諦めずに日々やって行くうちに大体2か月後には絞れるようになり、
半年もすれば絞れない人の気持ちなんてわからないぐらい絞れるようになります。
獣医師の場合には毎日様々な肛門と対峙することになるので
各々の肛門の個性に合わせた絞り方が必要になるでしょうが、
自分が飼育している動物の肛門と向き合うだけであれば
そんなにレパートリーは必要ありません。
毎月連れてくる直前に自分で絞ってみて、その後連れて来ていただければ
「仕上げはおか〜あさ〜ん♪」のように答え合わせが出来ると思います。
因みに、どうしても絞れない子というのも稀にいます。
当院には今のところ1匹しかいませんが、その1匹とは
↑うちののんさんです。
彼は肛門腺はちゃんとたまるものの、左右両方とも
排泄するための穴が開通していません。
なので、気にするようになったら、鎮静をかけてお尻に太めの針を刺して
中身を抜いています。つくづくめんどくさい男です・・・。
肛門腺絞りは出来るようになると、出た時の達成感が快感になります。
是非お試しください!
↑みずひきの とりさんが きになるにゃ
鏡開きも終わってしまったぐらいですが、新年最初の投稿ですので
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
今年はへび年だそうで、へびは脱皮をすることから
新しい挑戦をする年とのこと。
挑戦しようにも物価高でそれどころじゃないですけどね〜
物価が高いのに、上昇率が反映されない私の今年のお年玉
↑中身が少ないのを外側の袋に凝ることで誤魔化すのはお金がない者の常套手段です。
私には子供はいないですが、周りを見渡すと
「少子化ってフェイクニュースでは?」ってぐらいいるもので・・・。
ごめんよキッズたち・・・投資でもして増やしておくれ
先日、私を除く女性陣の腕相撲大会を開催しました。
剣道歴があり子育てや家事で腕力を使うことが多い35歳の馬場さんと、
運動歴はないけれど隠れて特訓したりしていそうな25歳の小池さんと、
バスケを今も時々していて腕がとっても長い22歳の黒田さん。
どういう順位になったところで別にビックリしないっていうぐらい
差がなさそうなこの3人。
真面目に取り組んでもらうために自腹で景品を用意して対戦してもらいました。
↑コチラ。ちょっと高級なハンドクリーム。
塗った直後からそのまま料理もできるらしいです。
結果は
1位 黒田さん
2位 小池さん
3位 馬場さん
若い順ですね。私の予想は馬場→小池→黒田だったので全然当たってませんでした!
優勝者・黒田さんのヒーローインタビューしようとしたんですが、
なんだかムーミンのように恥ずかしがってしまい出来なかったため
彼女と親交が深く、しかも現場にいた大会関係者Xさんにインタビュー。
↑ネコ語しか話せないX氏。イニシャルも明かせません。
X氏の証言によると
・「腕へし折ってやるぜ!」という顔をしていた(顔だけ)
・数日前から大会主催者に「イメトレしといたほうが良いですよね?」と語っていた
との情報が!どうやら黒田さんは満を持して大会に臨んだようです。
これはもしかしたら3人の関係性に変化がみられるかもしれません。
下克上もあり得ます。強い奴が正義ですから、最年少の黒田さんが天下を取って、
「コーラ買って来い!」みたいなことになる日が・・・来ないとも言い切れない!
今のところ私が3人に負ける気配はありませんが、
下克上されない様に気を付けなきゃな〜と思いました。
ついでに今のところ院長と引き分けなので、倒せるように頑張りたいです。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
当院に来る患者さんの来院理由で一番多いのは
恐らく【爪切り・耳掃除・肛門腺絞り】です。
この3つは当院でワクチンなどの予防をしている方に関しては
再診料に含まれていますので、実質無料となります。
この3つ、月1回程度はしてあげたほうが良い処置ではありますが、
でも本当はこれ、医療行為ではなく日常ケアの中に含まれるものです。
別に病院でやっても全然かまわないんですけど、
慣れてしまえば難易度はそれほど高くありませんし、
自宅で出来ればな〜と思ったことありませんか?
スタッフにも聞いたところ、上記3つの処置の中で最も簡単にできるのは
全員一致で【耳掃除】です。
耳掃除に関しては綿棒などを使用せずに、指で届く範囲の汚れを
湿らせたコットンなどで拭いてあげれば十分です。
生き物ですから、どうしたって【生きとし生けるものの汚れ】や
【生きとし生けるものの臭い】は多少出てしまいます。
何度拭っても汚れがとめどなく出てくるとか、
顔をしかめるほどの悪臭がするようであればそれは診察が必要です。
耳掃除を異常に嫌がる子も時々いますが、そういう子たちの多くは
「耳の病気で痛みがある時に無理に処置をした」など
トラウマになってしまった場合です。
なので、とっても嫌がってしまう場合にもやはり受診が必要だと思います。
残りの2つ、【爪切り】と【肛門腺絞り】に関してはどちらが難しいかは
意見が割れるところです。
私と黒田さんは爪切りのほうが難しいと思っていますが、
院長と小池さんは肛門腺絞りの方が難しいのでは?とのこと。
この2つ「家でもできます」と言われるのは爪切りのほうが多く、
特に猫の爪切りは技術というよりは単に双方の慣れと信頼関係の問題ですので
出来る人もそこそこいます。
でも肛門腺は「家でできます」をあまり聞きません。
そもそも肛門腺って、その存在自体が謎ですよね。私たち人間にはないですし。
そんなわけで、今日は肛門腺について書いてみようかな〜と思います。
肛門腺は犬や猫のお尻にあるにおい袋のようなものです。
お尻と言っても、しっぽを持ち上げて見えるようなものではありません。
肛門に人差し指を突っ込んだと仮定しましょう。第一関節まで入れると
4時と8時の方向に左右1つずつ指の腹に触れるのが肛門腺です。
大きさは体格や中身のたまり具合にもよりますが、
しっかりたまっていると仮定すると、猫や5`犬で枝豆1つ分ぐらい、
10`台の中型犬でソラマメぐらい、大型犬だと巨峰ぐらいあります。
当たり前ですけど1粒分ですよ?1房じゃないですよ?
この袋状のものに臭い液体がたまります。
この液体は何のために溜まっているのかはっきり言って謎です。
が、一説によると【自分の臭いをマーキングするため】とかなんとか。
確かにマーキングにはもってこいです。なにせ強烈なにおいがしますし・・・。
森の中などで野生動物として生きるにはよいでしょう。
どんなに強烈なにおいがしようが、大自然の消臭能力なら受け止められます。
やはりどんな消臭剤と比較しても、自然の消臭能力は偉大です。
生ごみやウンコのゴミでどんなに悪臭がしていても、
その辺に生えている草をひとつかみ引っこ抜いてきて入れておけば、
もうごみ箱の中の臭いはほとんどしなくなります。
でも家の中で、それも水で洗えないような畳とか布のソファーとか
高級絨毯とか、そんなところに肛門腺の中身が付着した日にゃ・・・
もう一日お通夜みたいな気持ちで過ごすことになるのは必至です。
「肛門腺って絞らないとどうなりますか?」と時々聞かれます。
最も嬉しいのは「別に何も起こらない」で、こういう子も一定数います。
最も悲しい結末は「肛門腺が破裂する」で、これも年に数件見かけますが、
そもそも雑菌などは多い場所でしょうが、
大量に溜まってるとより感染を起こしやすく、お尻の皮膚を突き破って臭い液体が出てきます。
つまりお尻の穴が2つになる・・・お察しの通り、とても痛い。たぶん。
どんな感じかよくわからない!という方へ・・・
閲覧注意ですが、参考までに肛門腺破裂するとどうなるのか、写真載せます。
苦手な方は急いでスクロールしましょう!
」
↑左の肛門腺が破裂した猫。5日前からご飯を食べなくなっていたようで、
恐らくそのころからお尻が痛かったと思われます。数日前からお尻を舐めていたとのこと。
肛門は星印のところにあります。
大きな穴が開いて、内部を洗うと膿や壊死した組織が出てきます。
穴の周囲の赤い点線で囲った部分は血色が悪くなっており
恐らくこの部分の皮膚は壊死していずれ取れます。
壊死した組織が辺縁にある限り穴は塞がらないので
積極的に削り落とすこともあります。
この段階では感染や痛みをコントロールすること、そして何より
エリザベスカラーを装着して絶対に舐めないように管理することが大事です。
↑4日後。
この子はうまいこと勝手に壊死した組織が脱落したようです。
穴の周りをもう少し削って新鮮な皮膚だけにします。
感染のコントロールもできて膿の排出も終わっていたので穴を縫って塞ぎます。
穴が小さければ縫わずに自然に塞がるのを待ちますが、
この子は流石に穴が大きすぎるので・・・
↑こんな仕上がりになります。
この後1週間ぐらいで抜糸ができました。
肛門腺を絞らないでいて一番多いのは、「肛門腺を気にしてお尻をこすって歩く」ということと、
「びっくりした時など肛門腺が飛び散って周りが大惨事になる」かな〜と思います。
いずれにせよこすった床とか飛び散った壁は臭くなる可能性があります。これは悲しい!
↑お尻を擦って歩くってこういうやつです。前足は床につけて、後ろ足は持ち上げて
前足をバタバタさせながらこのまま前方に進んでいきます。
我ながら上手く描けた♪
というわけで、肛門腺は絞った方が良いと思います。
物事にはいろいろ賛否両論つきものですが、
「肛門腺は絞らないほうが良い」という意見は聞いたことありません。
まあ、猫は半数程度は発狂するほど嫌がったりするので
そういう場合はやらないほうが良いかな…という子もちょいちょいいますが。
それなら肛門腺を絞ろうではないか!となるのですが、ここから先は
かなり個体差があります。肛門腺って【個性】だと思う・・・
@たまる速さ
先ほど月に1回ぐらいは〜と書きましたが、これはとても個体差があります。
しっかり肛門腺絞りをして中身をすっからかんにしても
1週間でまたたまってしまう子も結構な数存在しますし、
逆に半年に1回しか絞らなくても平気な子もいます。
液体がたまる速度はおそらく体質的なところが関与しているので、
コントロールするのは難しいと思います。
時々、フードの変更などでたまりやすさが変化する子もいますので、
どうしても溜まらないようにしたい場合には片っ端から試してみるしかありません。
A溜まっているものの質
肛門腺の中に溜まっているのは基本的には液体なのですが、
サラサラの液体だったり、ねりわさびぐらいの硬さだったり、
固い子だと「一晩キャップをせずに放置した絵の具」ぐらいになったりします。
サラサラだととても絞りやすい反面、ちょっとした拍子にあの臭い液体が勝手に飛び出すので
「サラサラだね!良かったね!」と単純には言えません。
ねりわさびぐらいがちょうどよい気もしますが、
個体にによってはマスタードのように粒々が入っている子たちもいます。
そうするとこの粒々が肛門腺の出口のところに塞がって詰まってしまうこともあります。
理想を言えばあまりサラサラじゃないけど粒々してないのがいいのでしょうけど、
その微調整は難しいので天に運を任せる感じですね。
理想的な質だったらガッツポーズでもしておきましょう。
絞らなくても平気な子は、そもそも溜まりにくいという可能性もありますが、
排便時、ウンコが肛門から出ていく際にいい感じに肛門腺を押して
自然と中身が絞られて、臭い液体がウンコに付着して排泄されている場合もあります。
大型犬など大きめなウンコを出す、サラサラタイプの子に多いと思います。
B溜まっているもののにおい
これも個体差があります。
「生臭い」とか「香ばしい」とかいろんな表現の仕方がありますが、
共通して言えるのは「まず間違いなくクサイ」と言うことです。
臭くない肛門腺は・・・出逢ったことありません!
C絞りやすさ
これも個体差があります。が、絞る前から何となく想像がつきます。
絞りにくいのは
・尻尾が短い(というよりほとんどない)子
・お尻に肉がたくさんついている子
・去勢手術していないオス犬
肛門腺は正面(肛門側)から見ると4時と8時の方向にありますが、
体の横側から見た時にはやや頭側の方に寄っています。
なので、肛門をどんなに掴んでも、肛門腺が頭側に逃げてしまっていると
中身を絞ることは出来ません。
ですので、絞る際に大事なのは絞るのとは反対の手で
尻尾を頭側に倒すことです。
これをすると肛門腺が肛門側に少しずれるので
格段に肛門腺を掴みやすくなります。
↑指を肛門腺の向こう側に届かせたい!。
絵が下手で指突き刺さってますけど、あくまでイメージです。
が、純血犬の中には生まれてすぐに尾をちょん切って短くしてしまうものがあります。
これを断尾(だんび)といいます。
そもそも何のために断尾するのか・・・と思い調べてみたのですが、
一瞬納得させられそうな
「怪我をするのを防ぐ」とか「糞便で汚れるのを防ぐ」に関しては
「そんなのどの犬種も同じだろうよ」と思うので却下、
それ以外の理由では「見た目の問題」「種の伝統を受け継ぐため」らしいので
多分こっちの理由な気がします。
断尾は仔犬の時に無麻酔で行われるらしく、
「尻尾切って痛くないの?」という疑問が生まれますが、
一応「生後すぐに切るので神経が発達する前だから痛くない」
・・・と言うことになっているようです。
ただ、断尾の現場で実際に仔犬を観察するという研究では
鳴いたりもがいたりなどの痛みに対する反応が全ての仔犬で見られたらしいので
多分痛いんだと思います。だから正しくは
「痛くないから大丈夫」ではなく「覚えてないだろうから大丈夫」だと思います。
断尾の仕方も犬種によって違うようで、
トイ・プードルやミニチュア・シュナウザー、ジャック・ラッセル・テリアなどは
ある程度掴めるぐらいの長さを残した状態で断尾されていますが、
フレンチ・ブルドッグ、ブルドッグ・ウェルシュ・コーギーなどでは根元から切っていることが多く、
こうなると全く掴めませんので肛門腺絞りもとても難しくなります。
切るにしても少し残しておいてよ・・・というのが正直な気持ちです。
また、お尻周りに肉がたんまりついていると肉が邪魔して肛門腺を摘むことが出来ませんし、
去勢していないオス犬の場合はオスのホルモンの影響で
肛門周りの筋肉が発達しすぎていることが多く、
そうなると筋肉を掴んでいるのか、肛門腺を掴んでいるのか、正直よくわかりません。
何となく肛門あたりを掴んで絞ってみて、
全くでない時、あるいは少ししか出なかった時に
「そもそも溜まってない」とか「全部絞り切った」とかがこれらの犬では判断できないので、
「本当はもっと溜まっているのに絞り切れていないだけ」
の可能性も十分あります。
こういう絞りにくい子の肛門腺を絞る場合に一番良いのは、
【肛門の中に指を突っ込んで、肛門の内側と外側から絞る】方法です。
これなら確実に肛門腺を触ることが出来るので、絞り切ることも可能です。
以前、肛門腺を絞りにくい子で何度か実験をしてみたことがあります。
最初は通常の絞り方で、「もう1滴も出ない!」というまで絞ってみて、
2回目には肛門に指を入れて絞ってみる方法です。
絞り切れなそうな雰囲気を漂わせているお尻の犬10匹以上試してみた結果、
結論から言うと1回目で絞り切れてることはありませんでした。
絞り切ったと思っていても実際には絞れておらず、
印象としては2回目は1回目の2〜3倍出る感じでしょうか。
ということは・・・こういう子は絶対肛門に指を入れて絞った方が良い!
ただし、この処置に関しては当院は500円の追加料金がかかってしまいますので、
「肛門腺が毎回ちゃんと絞りきれているか気になる・・・」 という方は、
一度お声掛けください。生絞りします。
もしそれで2回目にも出ない場合には、1回目で絞りきれるタイプと言うことですから
次からは無料の範囲の肛門腺絞りでOKと言うことです。
というわけ、通常絞りバージョンの実践編!
一番最初にすること、それは準備です。
ティッシュは箱ごとの方がたくさん使えるのでいいでしょう。
また、肛門腺が肛門周りに付着した時に拭く
動物用のウェットティッシュなんかもあると便利です。
私は動物用のウェットティッシュは高いので
↑コチラをよく使用します。ほぼ同じだと思います。
次に動物を少し高い所に立たせます。
モデルに抜擢された太郎くん。何か楽しいことが起こるのかと
期待のまなざしを向けています。
かわいそうに。楽しいことは何も起こらないよ。
お尻の写真を撮られて、肛門をつかまれる未来が待ってるだけよ。
薬を飲ませる時や爪を切る時も、床ではなく
すこし高い所に立たせた方が逃げられる可能性が減ります。
猫はそのままで構いませんが、犬は落下するとケガをしますので
出来れば散歩用のリードを付けてリードを利き手と反対の手に巻きつけておけば
いきなり飛び降りて骨折・・・というのを回避できます。
おすすめなのは、お風呂に蓋をしたその上です。
ここならそこまで高くないですし、仮に飛び散って周りが汚れても掃除がしやすいですし、
絞った後そのままお尻周りだけ洗ったり、もしくはシャンプーに移行したりも出来ます。
※ただし、蓋が外れて浴槽にダイブしないように注意!
また、本音を言えば初心者はティッシュなどを使わずに素手で絞る方が分かりやすいので、
手が汚れる覚悟で絞ると感覚がつかめると思います。
先ほどから「超臭い」と何度も書いていますが、でも幸いなことに
肛門腺の臭さは「洗っても取れない!」みたいなことは全くなく、
石鹸で洗えば手に付けてしまった罪は見事に消えます。ご安心を。
では実際に絞ってみましょう!
利き手じゃない方の手で動物の尻尾をつかみます。
そして、掴んだ尻尾を頭側の方に出来る限り反らせます。
あまり持ち上げると痛がる子もいますが、痛がる様子がなければ
↑これぐらいまで持ち上げると絞りやすいと思います。
2人以上いる場合には、補佐の人は動物の顔をよしよししながら
お尻の方を振り返らせない様にしましょう。
↑太郎くんはとても良い子なので、「なんだなんだ?」って振り返って
鼻先で邪魔してくる程度ですが、普通に噛んでくる子も結構いますので、
お持ちでしたらエリザベスカラーをつけるのもありです。
もし自分1人しかいなくてカラーもない場合には、動物が振り返らない様に、
動物の体に自分の体を沿わせて、肘で体を抱え込みつつ尻尾を掴みます。
↑尻尾を掴んで体も固定しているにもかかわらず、
利き手を肛門腺絞りに専念させられる喜びから出るピース
サラサラタイプで中身がパンパンな子はこの段階で中身が出てくる子もいます。
中身が出て来なくても4時と8時方向にコリコリしたものが触れるかもしれません。
あとは肛門の4時と8時方向を奥から手前に絞り出すように摘みます。
↑こんな風に肛門の4時と8時方向の、肛門より1センチ程度離れたところを触り、
絞る前にこの2本の指を動物の頭側に1センチぐらい押し込んで
押し込んだ奥の方から肛門に向かってゆっくり絞り出します。
説明がとっても難しいですが、まあざっとこんな感じです。
因みに2本指同士をくっ付ける(掴む)際の強度ですが、結構強めです。
私は時々飼い主さんの腕を肛門に見立てて、同じぐらいの強度でつねるのですが、
皆さん「痛い!」とおっしゃるので多分結構強めなんだと思います。
もしよくわからなければ、お連れていただいた際にお教えします。
また、「やってみたけどできなかった」という方、たくさんいらっしゃると思いますが、
この技術、数をこなせば出来るようになります。自転車乗るのと同じような感じです。
乗れるようになったらどうしたら乗れないのかよくわからない、それと一緒です。
肛門腺絞りは獣医大学に通っていてもやり方を教わることはないので、
仕事を始めた時は全く絞れません。
でも、諦めずに日々やって行くうちに大体2か月後には絞れるようになり、
半年もすれば絞れない人の気持ちなんてわからないぐらい絞れるようになります。
獣医師の場合には毎日様々な肛門と対峙することになるので
各々の肛門の個性に合わせた絞り方が必要になるでしょうが、
自分が飼育している動物の肛門と向き合うだけであれば
そんなにレパートリーは必要ありません。
毎月連れてくる直前に自分で絞ってみて、その後連れて来ていただければ
「仕上げはおか〜あさ〜ん♪」のように答え合わせが出来ると思います。
因みに、どうしても絞れない子というのも稀にいます。
当院には今のところ1匹しかいませんが、その1匹とは
↑うちののんさんです。
彼は肛門腺はちゃんとたまるものの、左右両方とも
排泄するための穴が開通していません。
なので、気にするようになったら、鎮静をかけてお尻に太めの針を刺して
中身を抜いています。つくづくめんどくさい男です・・・。
肛門腺絞りは出来るようになると、出た時の達成感が快感になります。
是非お試しください!