あんなかどうぶつ病院 千葉県流山市前平井 04-7179-5712 流山セントラルパーク駅 動物病院 ペットホテル

あんなかどうぶつ病院
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2023年07月22日 [日常あれこれ]

夜間救急の話 と 大事なお知らせ【前編】

こんにちは、獣医師の大野です。

梅雨も終わったんだか終わってないんだかわかりませんが、もういい!!
・・・と思ってたら今日ようやく梅雨明けしたようですね。
夏の飾りに変更しました。
夏

夏の飾りを暑苦しいフェルトと毛糸で表現・・・

今日はとても大事なお知らせがありまして、それについて書きました。
書きましたが、伝えたいことが沢山あって、長すぎて、
重くなりすぎて、表示が出来なくなってしまうというトラブルが・・・
色々削ったりもしたんですけど、中途半端になるのもな〜と思いまして、
それならばと、更新方法を変えてみることにしました。

というわけで、今回は【前・後編にわたる大作】になってしまいました。
今回は前編なので、大事なお知らせを読んでいただく上での
まあ、前菜みたいなものです。
肝心のお知らせだけ知りたいという方は、後編だけ読めばわかる内容にしました。
ですので、そんな方は明日の後編の更新をお待ちください。
とりあえず今日は前編のみ公開します。

🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾

皆さんはどんな基準で動物病院選びをしているでしょうか。
医療技術とか、立地とか、料金とか、基準は様々あると思いますが、
その中で時々聞くのが「夜間救急に対応しているかどうか」ということです。
救急車


人間の病院ですと、夜中でも救急車を呼べばどこかしらの病院に運び込まれて
何らかの処置をしてもらえたりするんですが、
動物病院はというと、夜間対応しているところはほとんどありません。
理由はいくつかありますが、1つは病院の規模がどこもそれほど大きくないということです。

当院で言えば獣医師は院長と私だけなので、仮にもし夜間対応をするとなると、
日中の診療は誰がやるんだという話になるわけです。

また、獣医師が一人だけいたとしても、人間の診療とは異なり
動物を押さえたりする人も必要になります。
いつ来るかわからない夜間救急のために複数人人員を配置して、
当然誰も来なかったとしても待機した分のお給料は発生します。
給料

⇧こんな金額ではないですよ!これの○分の1ぐらいです。

では待機しただけで発生するお給料はどこから払われるのでしょうか。
方法は3つ。
➀夜間救急で来院した方の診療費を多めにいただく。  か、もしくは、
➁日中診察に来る人達にちょっとずつ負担していただく。  か、あるいは、
➂病院の余力でなんとかする。

仮に➀であると仮定しましょう。
夜間の救急に来なければならない動物たちは重症である可能性があり、
そもそもの診療費も高くなる傾向があります。
また、夜間に駆け込まなければならない動物たちの中には
「何日も様子を見てたけど良くならずに急変した」という子が割合的に多く、
そもそも何故すぐに動物病院に連れて行かなかったのかの背景には
「保険などに加入していないため、診察をためらった」ということが結構あります。

「人間の診療費と比べて動物の診療費が高い!ぼったくりだ!」
なんて言う方、時々いらっしゃいますが、それは日本は国民皆保険だからなわけで、
既に給与などから天引きされたり国民健康保険料を全員が支払っているので
窓口精算で3割負担で済んでいるだけなのです。
本来は病院で払う金額の3.3倍以上の診療費がかかっています。
そこまで考慮すると、人手が必要な割に動物病院の方が安いと思います・・・。

保険に入ってない人から全額自己負担な医療費だけでなく、
待機分の人件費まで上乗せして請求することはできません。

では、➁にしたらどうなるかというと・・・
恐らく、「それなら、夜間救急だけ利用して、日中は他の安い病院に行きます!」
という人が増えるだけで、結局経営が成り立たずに終わりです。

➂の方法を取るのが患者さんにとっては一番望んでいることだと思いますが、
その余力のある病院というのは、恐らくスタッフが数十人在籍していて、
駐車場も無限大にあり、1日に数百人ぐらい患者さんが来院するような
超巨大病院
だと思います。うちのようなこじんまりとしたところには無理です・・・

それでも夜間に困っている動物たちや患者さんを助けたいと考え、
過去に何度も夜間救急を試みた数多の先輩獣医師たちが
徐々に夜間救急をやらなくなるのはそういった事情があるのです。
我々獣医師も人間ですから、収入にならなければ生きていけませんし、
しっかり休息をとって最低限度の生活はしたいですからね・・・
挫折


私も以前、夜間救急に対応している病院で働いていたことがあります。
朝7時半に出勤し、遅いとスーパーも閉店しているぐらいの時間帯まで働いていましたが、
夜間の当番の日は病院の電話を専用携帯電話に転送されるようにセットし、
その携帯電話を持って帰宅するのです。
そうすると、夜中に病院にかかってきた電話を、全て当番獣医師が自宅で取ることになります。
たった今帰宅したばかりなのにまたすぐに病院に戻る ぐらいならまだいい方で、
お風呂に入っている最中でもかかってくるので、もう一度着替えて診察をしたり、
朝からの激務で疲れて眠っている時に電話がかかってくれば、
起きて出動しなければなりませんでした。
呼び出し

1日に1件とは限らないので、真夜中に帰宅してもう一度寝ようとしても、
再び他の方からの電話を受け、再度着替えて出動。
気が付けば朝になり、また1日の診療が始まる・・・
寝不足


そんな日々を送っていると、半分ノイローゼになるのか、
「電話が鳴ってる!」と思って飛び起きたけど実際には何も鳴っていなかったり、
当番ではない日なのに電話が鳴っている気がしたり等、
帰宅しても全く気が休まりませんでした。


そもそもお休みの日も月に8回で、ということは週2回ない時もあり、
また、時間があればセミナーに参加したり勉強したりしなきゃいけないし、
一人暮らしなので掃除したり洗濯したり家事もこなさなきゃいけないし、
やらなきゃいけないことが沢山あるのに、疲れて何も手につかない…
魂バイバイ

それはそれは、心身ともに非常に鍛えられ、濃密な日々でした。
一度現場を離れた女性獣医師が、ある程度年齢がいってから
正社員でカムバックすることが少ないのですが、正直気持ちはわかります。
どうしたって体力的にキツ〜イ仕事ですからね。
そういう点では数年間ですが非常に良い経験をさせてもらえたと思います。
今それをやろうにも、絶対に体がついていかないですからね!

余談ですが、
その頃既に30歳近かったのですが、大人の喘息というものを発症し、
夜中に発作がひどく出てしまったことがありました。
咳が出るため呼吸が出来ず唇が紫っぽくなり、声を発するのも難しかったのですが
救急車を呼ぶのは忍びない…と思い、当時住んでいた自治体のHPを見たところ、
夜間に診療してくれる病院を紹介してくれる機関があり、そこに電話しました。
近くの夜間指定病院を紹介され、先に電話をするように言われたためすぐに電話しました。
声を出すのもやっとだったのですが、「喘息の発作で・・・息が・・・」と言ったところ、
「あ〜・・・私外科医なんですよね〜。なので来てもらっても
どうしたらいいかわからないんで・・・朝まで待ってください」
 とのこと。
拒否


夜間救急に駆け込む人で喘息って結構割合多いはずなんですけど…。
とか、
外科医だって喘息がどんなものか知ってますよね?
夜間救急に外科以外が来ることって普通にあるでしょうよ。
開き直らないで教科書とか何か見てよ

とか、
言ってやりたいことは山ほどありましたが、呼吸困難で言えず・・・。

結局自分が勤めてる動物病院に行って、そこにあるもので
応急処置しましたが、(たぶん本当はダメ)
応急処置

「私はこれまで何匹も夜間救急で診察してきたのに、
自分が病気の時は誰も見てくれないのか・・・」
と切なくなりました。
それと同時に、メジャーな病気でも専門外なら
断ることが出来る人間のお医者さん、羨ましいな〜とも思いました。


数年間夜間救急をしていたことで、学んだことはたくさんあります。
例えば、夜間救急は当番獣医師一人で対応していたので、
同じ症状で運ばれてきても、行う処置がスタッフの人数を確保できる昼間とは
違ったりします。

正解は全然違うかもしれませんが、私が勝手に思っていた、
夜間救急で最も大事な目標は、
朝が来て、
通常の診療が始まるまでの間
命をつなぐこと
でした。
完璧に直すことは夜間救急では基本的に不可能です。

夜間に駆け込まなければいけないほど重症な動物が、
夜中に獣医師が何かチャチャっとやったぐらいで
元通り元気満タンになるわけがない!


とにかく朝が来て本格的な治療を始められるようになるまで、
なんとか命をつなぐために、応急処置的なことをするのが
夜間救急の最大の仕事だと思って診療していました。

なので、夜間救急はそれ単独で病気を治すものではなく、
あくまでもその日の朝にはかかりつけの病院でちゃんと治療することが前提であると。
ですから、「朝になったら通常の診察に来てください」と言った際に
「え〜?予定あるんですけど…。」と言われると、なぜだろう、モヤモヤする・・・

これは夜間に限らずよくあります。
「動物病院の診療時間は自分のライフスタイルと合わない。
待つのも嫌だから診療時間外に診療して欲しい」
と言われることもあります。
優先順位は人それぞれ異なりますので、動物の病気と自分の用事と、
どちらを優先するかを決めるのは飼い主さんですから、どちらが正解ということはありません。
ただ、自分に関わるところは全て優先して、他人にしわ寄せを持ってくるのは・・・

我々獣医師だって人間ですから、翌日の診療のことや他の患者さんのこと、
長くこの仕事を続けていくことを考えると、最低限の休息は確保する必要がありますし、

「私の予定は動かさないから、獣医師の予定を変更して」
と言いたいのかな?と、なんとな〜くモヤモヤ。また、時間外対応できないと伝えると、
「え?具合悪いのに放っておくんですか?大丈夫ですか?」
というのもよ〜く言われる言葉ですが、
自分の予定を変えずに放っておくのは飼い主さんの方だと思うのです。
なんとか【連れて行かなかったのは自分のせいではない】と思いたいのでしょうが、
動物の命を交渉材料に持ち出すなんて、ズルイな〜と思ってしまうのです。
私の心が狭いんですかね…他の獣医さんは思ってないのかな・・・
でも人間の病院はどんなに具合が悪かろうが絶対に時間外に病院開けてくれないですし、
1分でも遅れたら「また明日来てください」で終わりです。
それでもあまり文句が出ない人間のお医者さん、やっぱり羨ましい・・・

それに仮にもし自分が夜間救急にかかるほどの重症であれば、
翌日の予定を変更しますよね・・・?
その方にとって動物が大事か自分の予定が大事か、
それはその人の中の正解なのでどちらがどうということはありませんが、
どちらを選択したにしろ、
他人に責任を押し付けるのは違う
のではと思います。

ただ、もちろん本当に困っている方もいらっしゃいます。
夜中に突然咳が止まらなくなってしまったり、仕事から帰宅後に
床に倒れているところを発見したり、夜散歩中に交通事故に遭ったり…などなど。
そんな時に開いている病院がなく、朝まで不安な気持ちで待つのは辛いものです。
当院では現在、埼玉県川口市石神にある、
【どうぶつの総合病院 救急救命科夜間診療部】というところを紹介しています。
どうぶつの総合病院は、日中の時間帯は二次診療施設として、
当院のような一次診療の病院から紹介を受けた難しい病気の患者さんの治療を行っています。

でも車で行くと1時間ぐらいかかる距離ですし、
【県をまたぐ】というちょっと心理的に遠いところにありますので、
車がない方がタクシーで行くにしても少しハードルが高い・・・。
多少距離があるのは仕方ないとして、千葉県内に夜間救急があれば・・・
と、東葛地域の獣医師会の先生方が熟慮を重ねた結果・・・

2023年8月某日

とうかつ夜間どうぶつ病院 オープン予定

とうかつ夜間どうぶつ病院
というわけで、前編はここまでとなります。
明日後編を公開する予定です。
明日の後編では、この夜間救急についてのお話や、
受診する際の注意事項などをお伝えできればと思います。
どうぞ、お付き合いください!

◇◆前編のオマケ◆◇
先日のんさんを連れて仕事に来ていたので、
誰もいない我が家はいったい何度ぐらいになっているのだろうと思い、
ウェブカメラでアパートののんさんの部屋の温度を調べた所・・・
夕方17時の時点で41.4℃!!
締め切った部屋では夕方でもそれぐらいあります。
ということは、一番気温が高くなる14時ごろは50℃近いかもしれません。

恐ろしや〜と思い、翌日はのんさんをその部屋に留守番させていたので、
2時間おきぐらいで温度チェックしてました。
朝エアコンをつけて出ていたので、大体床温度は25℃ぐらいだったのですが、
16時頃見たところ床温度が28℃へ。
なんで急に上がったんだろう・・・と思い、エアコンの状態を調べた所、
なんと!電源オフになってました。
危ない!!!急いで再度エアコン起動!
もしかしたら、私が温度確認の際にタブレットを連打しすぎて
オフになっちゃったのかも・・・と思ったのですが、
帰宅したところ何故かサーキュレーターが止まっており、
TVをつけたところ、「正常に終了しませんでした」的な文言が…。

どうやら、野田の方は雷が鳴って停電していたようです・・・。

もしも雷が午前中に落ちてそこからずっとエアコンがオフだったら・・・
もしも2時間おきにチェックしていなかったら・・・

恐らくエアコンが消えたことに気付かぬまま、のんさんは熱中症に。
帰宅したら「熱中症になってる!」ではなく「熱中症で死んでる!」まで
事態は進んでいた可能性があります。怖い!!!
あぶらのん

それにのんさんは、他の猫より脂の割合が多めなので
たぶん溶けて何も残らない・・・


つけて外出したからと言って過信してはダメですね。
それに動物は水の皿をひっくり返してしまうことがあるので、
飲み水は複数個所に設置することをおすすめします。
今年は誰も熱中症で死んだりしませんように!
診療時間

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