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[日常あれこれ]

2025年03月31日

フィラリア予防薬 と ペットと車 と 当院のハラスメントレポート

こんにちは、獣医師の大野です。
だいぶ春めいてきましたね。明日からは4月です。
4〜5月は動物病院が一番混む季節です。
が、しかし!
学校行事や狂犬病集合注射、獣医師会の集まりなど
院長が不在の日が多いのもこの時期です。

ということでお知らせです。

4月 7日(月)午前中 院長不在(狂犬病集合注射のため)
4月12日(土)午前中 院長不在(狂犬病集合注射のため)
4月19日(土)午前中 院長不在(狂犬病集合注射のため)

今年は院長不在日がだいぶ少なくなりました。
なぜなら・・・

PTAの用事が劇的に減ったから!

ヤッタゼ

院長は2016年から2021年までは幼稚園のPTA会長
2022年は小学校のPTA副会長、2023年と2024年は小学校のPTA会長をしていました。
PTA

PTA会長だと、安中キッズが入学・卒業のタイミングではなくても、
会長としてそれらの式典に出席しなくてはなりません。
そういう1年に1回系の行事だけの問題ではなくて、
週6で診療をしている院長の唯一のお休みの日も毎週のようにPTAに駆り出され、
休みの日だけでなく診察時間まで召集されることも度々ありました。

昨今PTAや自治会については全国的に運営方法に関して話題になっているようですが、
「専業主婦やフリーランスの人、夜勤中心の人ならともかく、
日中に仕事をしている人がPTAの役員するのって無理じゃない?」

と私も思ってました。

院長が普通の会社員だったら、おそらくPTAのために仕事を休まなければならなくなり、
有給休暇をすべて献上しても全然足りないですし、
それが何年も続くとなればクビになるレベルです。

リストラ

PTAのために一家の大黒柱のお父さんが会社をクビになって
生活が立ち行かなくなった時、PTAってその人のために何かしてくれるわけ?

と純粋に疑問でした。

動物病院という場所に関して言えば、とりあえず“獣医師が一人いれば”診療はできます。
でも、「院長診察希望」とか「難しい病気で獣医師2人必要」とか
「時間のかかる検査や処置」とか
どうしても院長がいないと難しい日もあります。
私の休みはそもそも獣医師が院長しかいないですが、
そんな日にPTAの集まりが被った際には
半日休診にするしかなく、たとえ急患であっても獣医師がいない以上
他の病院を探して
いただかなくてはならないこともありました。

院長はこれまで何年もおひとよしが発動してPTAを引き受けてきましたが、
本音を言えば別にこういう活動は好きでも得意でもないし、全然やりたくはないとのこと。
やりたくはないんだけど強く拒否できないと、押し付けられる傾向にあります。

そういう性格につけ込まれているようで、部外者ながら納得いかない・・・。
だって、もっと時間ある人、絶対いますよね?
趣味のスポーツサークルとか入って活動している人、

ママさんなんちゃら

それだけアクティブで時間あるなら、そろそろ代わってあげてよ。
やれるけどやってない人、絶対いるでしょ?
誰かが仕事を犠牲にしなきゃできないとしても毎回同じ人に負担を強いるのはどうなの?
「PTAなんてなくなってしまえ!」とまでは言わないけど、
お人よしに押し付けて、その人の生活や仕事を犠牲にしてまでやるのは・・・ねえ・・・。

が!今年はPTA会長を卒業したのでこういうこともなくなるはずです。
院長に負けないくらい私がすっきりしました。

・・・と思っていたら、実は会長ではなくなったものの、今年は


小学校のPTAの会計監査 と 中学校のPTAの顧問
らしいです。(顧問って・・・なんだよ顧問って!なんか偉そう)
まあ、これまでほど駆り出されることはなくなるでしょうが、
もうちょっとシステムを何とかしないと、PTAってなくなっていくんではないかな〜と思います。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
そろそろフィラリア予防がスタートします。
温暖化で年々気温が上がっており、蚊の発生期間も長くなっています。
フィラリアに関しては以前2023年11月7日投稿の記事
【フィラリア予防は終わってません! と 院長が不在だった理由】
で詳しく解説しましたので、そちらをもう一度ご覧ください。

今回はフィラリア予防のお薬について書いてみようと思います。
・フィラリア予防をしたことがない方
・予防はしているけど、飲ませるのに一苦労している方
・月に1回あげるのを忘れてしまいがちなうっかり八兵衛な方
・予防はしたいけど薬が高く感じて年に2〜3回しか飲ませていない方

などなど、フィラリアの薬について悩む迷える子羊な方たちには
是非お読みいただければと思います。

2023年11月にも記載しましたが、大前提の考え方として、

フィラリア予防は本当は【予防】ではなく【駆除】である

ということを念頭に置いておく必要があります。
つまり、今日飲んだ薬は今日から1か月間の感染を防ぐのではなく、
今日より約1か月前に感染したフィラリアを殺すための薬になります。

蚊に刺されてフィラリアに感染したとしても、
1〜2か月程度は「感染」というより“感染(仮)の状態です。
この(仮)マークがついているうちに、予防薬を飲んで、
真の感染(心臓に虫が到達すること)を防ぎましょうというのが
お薬の基本的な考え方です。
図


感染(仮)の状態をそのままにしておくと、
(仮)の部分が取れて真の感染となります。


真の感染とならないためには、フィラリアのお薬を正しく飲む必要がありますが、
フィラリアのお薬は実はたくさん種類があります。
多すぎてわからない!と思われるかもしれませんが、
種類がたくさんあるからこそ、様々な犬の性格や飼い主さんのライフスタイルに
対応している薬があるということです。

フィラリアのお薬は大きく分けると3種類あり、
@注射を打つか、A口から飲むか、B皮膚につけるか のどれかです。

注射

フィラリアのお薬は毎月投薬する必要がありますが、
飲ませ忘れが続いたりなどで投薬の間隔があいてしまうと
その隙に感染してしまう可能性があります。
飼い主さんとしては飲ませたつもりでいても、
「掃除機かけてたらソファーの下から干からびた薬が出てきました!」
という方もいます。飲んだと見せかけてペッと上手に出す子、結構いますからね。
また、「高齢の両親が飼っていてちゃんと飲ませてるか心配」とか
「急遽数か月入院することになってしまって忘れていた!」なんて方も。
毎月飲ませる為に手を咬まれながらなんとか飲ませている方にもおすすめです。
ただし!注射のお薬は購入できる数に制限があり、
無くなり次第その年の分は終了となります。
今年分はまだ残っていますが、毎年6月頃にはなくなる傾向にありますので
ご希望の方はお早めにご来院ください。

経口


口から飲むタイプ(経口タイプ)のお薬には、錠剤タイプとおやつタイプがあります。


シーズン分をまとめて持って行くこともできますし、
1か月分ずつ分けて持って行くこともできます。
決して安い薬ではないので、まとめての出費がつらい方
体重が安定せずに毎月サイズが変わるような子の場合には便利です。
おやつタイプは多くの犬たちが喜んで自ら食べてくれるので、
月に1回のご褒美として投薬することができます。

錠剤タイプは全ての予防薬の中で最も価格が安いので、
「最低限の予防だけしたい!」という方にはこちらをお勧めしています。
おやつタイプと比べて粒が格段に小さいので、
口に入れて飲ませるときには断然楽だと思います。

ただし!飲ませ忘れやお薬を吐き出してしまうなどで予防が不完全になることもあります。
またお腹を壊しやすい子での場合、
下痢をしているときは吸収が悪い可能性があるため、
飲ませるタイミングが難しかったり、そうこうしているうちに飲ませ忘れたりなどもあります。
また、薬によって異なりますが、おやつタイプには
大豆や牛肉を原材料としているものもあるので
アレルギーがある子は要注意です。

皮膚につけるタイプのお薬は、実は当院では常備していません
ですのでこれは本当に最後の手段的な方法です。
首の後ろあたりにつけるようなノミダニの薬をご存じの方はいると思いますが、
実はフィラリアのお薬でも同様のものはあります。
注射はしたくない、おやつタイプも食べない、錠剤をのませることもできない、という
八方ふさがりな方でも、皮膚につけるだけでOKです。
(さすがに「触れない」という方はいないと思いますので・・・)

ただし!注意点が2つほどあります。

@つけた後数日はシャンプーや雨に当たることを避ける
 (浸透する前に流れてしまうのを防ぐため)
A常備していないので体重測定をした後で注文し、6個セットでしか購入できない

こう見てみると、「〇〇だからフィラリア予防ができない」」というどんな理由に対しても
何らかの解決策があるぐらい予防法がたくさんあります。
上記に記載したような理由だけでなく

「とにかく針が苦手なので、毎年の検査や注射での予防はしたくない」 とか

「毎年連れて行くのも大変だから、検査はしないで薬だけ欲しい」 とか

「薬をまとめて持って行きたいけど、体重がSサイズとMサイズの狭間なので
毎月体重を測ってからじゃないと購入できないのが大変」 
とか

毎年予防はしているけど実は困っていることがある方は是非ご相談ください。
お悩みを伺った上で、一番無理なく続けられそうな方法をご提案します。

院長や私に聞いていただいてもよいですし、
臨床14年のベテラン動物看護師・馬場さんでも
臨床5年、この業種では十分ベテランな小池さんでも
臨床2年、年数は少ないけど日々患者様対応特訓中の黒田さんでも
誰に聞いていただいても大丈夫です!
いつでもどんな相談でも対応できるように、最近黒田さんには

大野「すいませ〜ん、フィラリア予防っていうのを聞いたんですけど、
それって今使ってるノミの薬飲ませてれば大丈夫ですか〜?」


と私が患者さん役で抜き打ちで問いかけて練習をしています。
口には出しませんが、きっと黒田さんは練習の成果を発揮したいと思っている…はず!
場数を踏んでこそ、一人前の愛玩動物看護師になれるってもんです。
なので、お気軽にご質問ください。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
行楽シーズン、予防スタートシーズンですが、
皆さん車に動物を乗せるとき、どうしてますか?
来院時の様子を見ていると、猫は9割以上何らかの入れ物に入ってますが、
犬はリードをつけて歩いていたり、抱っこでくる子たちがほとんどです。
車から病院までこの状態で来るのは全然かまわないのですが、
私が気になるのは、車の中でどうなってますか?っていうところです。
大型犬ですとケージに入れること自体が難しいとは思うんですが、
小型犬で運転手以外の同乗者がいない場合には
ケージに入れてほしいと思っています。
理由はただ一つ、安全のためです。

以前勤めていた動物病院にいた時のこと。
ある日見知らぬ女性が、興奮状態の犬を連れて来院され、
その方はその犬にかまれて手から出血していました。
よく見ると、その犬は心臓病で月一回通院していたAさんの家のチワワBちゃんでした。
連れてきた方にお話を聞いたところ、

先ほどAさんがBちゃんを車に乗せたまま交通事故に遭い、
Aさんはそのまま救急車で運ばれてしまった とのことでした。


現場にはBちゃんだけが残される形となったものの、
Bちゃんは事故当時、運転するAさんの膝の上にいたようで
事故の衝撃で膝から体が宙に浮いてしまい
車の天井に激しく全身を打ち付けてしまっていました。
心臓の持病もあるBちゃんの容態をAさんがとても心配していたため、
たまたま現場近くにいた先述の女性が
「私があなたのかかりつけに連れて行って、そこで預かっててもらうから」
と、引き受けてくださったそうです。
↑なんていい人なんだ
全く面識もないのにとても親切な方だったようですが、
Bちゃんは元々他人に懐かない上に事故の影響で興奮状態にあり、
連れてくる時にこの女性のことを咬んだようでした。
↑なんてことを・・・
幸いAさんもBちゃんも咬まれた親切な女性も大事には至りませんでしたが、
もし車の窓が開いていたら、Bちゃんは窓から外に投げ出され
後続車に轢かれていた可能性も十分にあります。
事故

Aさんは事故直後はとてもショックだったようで、
「今回は不幸中の幸いだったけど、もしBちゃんが死んじゃったりしたらと
考えたら、ケージに入れずに車に載せるなんて
なんて危険なことをしてたんだろうと反省しました。
もう絶対ケージに入れて移動します!」

とおっしゃってましたが、喉元過ぎればなんとやら、
数か月後にはまた膝にのせて運転しているようでした。

私は心配性なので色々想像してしまいます。
例えばクラクションなどの大きな音に驚いて、運転手の足元に隠れたりしたら
ブレーキを掛けられなくなったりするかもしれない・・・とか
ブレーキ踏めない
←こういうこと

事故で車から火が出たりしたときに、すぐにおろしたいと思っても
先ほどのBちゃんのように興奮状態になって降ろせなくなるかも・・・とか
Bちゃんのように誰かに預かってほしくても
咬みついて誰も引き受けてくれないかも・・・とか
そのままどこかに逃げて行ってしまうかも・・・とか考え出したらいくらでも出てきます。

動物自身にシートベルトをつけるのは結構難しいですが、
ケージに入れてしまえばシートベルト対応のものもたくさんあります。
「ケージに入れると吠えるんです」という方が結構いますが、
移動の短時間すらケージに入れられないのであれば、それは
トレーニングが必要な案件だと思います。
移動時だけでなくて他の時だってケージは必要になりますから。

人間の子供だって「親がちゃんと抱っこしてるから大丈夫です!」
「チャイルドシートは嫌がって大泣きするんです!」と力説しても
「いや、チャイルドシートに乗せてください!」と言われますよね?
それは決して意地悪で言っているわけではなくて、
その子の安全のために必要だから言われるのです。
ましてやブレーキが利かないような事態になったりすれば、
他人の命を奪う可能性だってあります。
自分の大事なペットだけでなくその街に住む人たちの安全も含めて
車の載せ方について考えていただければと思います。

◆◇おまけ◇◆
昨今某県知事のハラスメント問題が話題ですが、
当院で頻繁にみられるハラスメントを、今後はちょこちょこリークしていこうと思います。
公益通報者保護法で守ってもらえるかはわかりませんが・・・

加害者:のん
被害者:大野(飼い主)
ハラスメントの内容:仕事の妨害(ネコハラ)

猫ハラ中

調べ物をできないようにする作戦のようです。
これでは全然本が見えませんし、こんなところにこんなかわいいのがいると

黒田ほいほい

普段まじめに仕事をしている人ですら、吸い寄せられてしまいます。
この日も黒田さんがまんまと罠にはまってました。

けしからん猫だ!
因みに今日現在のけしからん猫は、
卵焼きの妖精

↑こんな感じになってます。
恒例の“皮膚にできた腫瘤を取る処置”をしたので
傷口を舐めないように“卵焼きの妖精”に変身させられました。
飼い主によって。
これは・・・何ハラかしら・・・卵焼きハラスメント?

診療時間

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