[日常あれこれ]
2025年02月28日
犬のトレーニングについて と ワクチンに関する大事なお知らせ
こんにちは、獣医師の大野です。
今週末ですが、

犬の運動会が流山総合運動公園のピクニック広場で行われるそうです。

↑ピクニック広場はここ。
この付近の2つのドッグスクールが合同で開催するようです。
基本的にトレーニングを受けているスクールの子が参加するので
スクール生以外が競技に飛び入り参加することはできませんが
でも!是非皆さんに見学に行って欲しいんです。
普段診療していると、「この子はトレーニングが必要だな」と思う子が結構います。

それは「ここをちょっと直したいな〜」ぐらいではなく、
例えばまだ生後3か月ぐらいの子犬だったとしても
「あれ?この子は…このままいくとヤバそうだぞ」とか
「この飼い主さんの接し方だと、
1年後には大変なことになってそうだ」
などなど、何千匹も見てきた我々からすると、結構ピンときます。
で、実際に成犬になって手が付けられなくなり
「だから言ったのに…」ってこともしばしば。

そうならないように、気づいた時は必ずトレーニングの必要性を伝えるんですが、
なんだかどうも皆さん腰が重い!
「咬み癖があって人間が怪我をしました」
「ケージに入れると激しく吠えるので、入れられません」
「友達ができません」
「散歩にいけません」
「嫌なことすると唸るから日常ケアができません」
と飼い主さん自身が問題点に気づいていて困っている割に、
なかなか最初の一歩が踏み出せないようです。
トレーニングで問題行動が改善できればもっと犬との生活が楽しくなるはずですし、
もっといろんな人や他の動物と関わりを持たせたりもできます。
そうしたら、その子はもっといろんな人から
「かわいいね」「いい子だね」と褒められ、
たくさんの人に愛されて人生(犬生?)を送れるはずなんです。

家の中で王様気取りで、家族にも顔色を窺われて、
咬んだり吠えたりするから人目のない時にしか散歩に行けず、
ドッグランでも他の犬とケンカになってしまうから行けず、
感情の制御ができないからトリミングもホテルも断られ、
病気になっても薬も飲ませられず、適切な医療も受けられない…

それは“家族”と言われている存在なはずなのに、あまりにも可哀そうです。
自然のままがいい!という方もいますが、
どこからか購入してきて人間が飼っている時点で自然ではないですし、
社会生活を送る上でありのままの自然でいられては、周りは困ります。
私が湧き出てくる自然の感情のままに行動して、
イラっとした瞬間に相手を殴ってたりしたらどうですか?

時々“良い人な瞬間”があったとしても迷惑ですよね?
それに仮にもし事故や病気などで自分で飼えなくなった時、
その子を無条件で引き取って可愛がってくれる人がどれだけいるでしょうか。
先日、青山学院大学の駅伝部の原監督が、
「『厳しく指導してください』という家の子供は
指導の必要性がないほどちゃんとしており、
厳しい指導を嫌がる家の子供は
むしろ指導の必要性を感じる」と言ってました。
わかる〜〜!!とテレビの前でこたつテーブルをバシバシ叩いちゃいました。
この話を院長にしたところ、「全くその通りです!」とのこと。
原監督は人間の子供に関しての話でしたが、
犬のしつけも同じところがあるな〜と感じます。
私は疑問に思ったことは基本的に有耶無耶にできない方なので、
「なぜトレーニングを受けさせたくないのか」
を本当は正面きって聞いてみたいんです。
何か誤解があるのかもしれないので純粋に理由が知りたいからなんですが、
でもたぶんそれを聞いたら「責められた!」と感じる方もいると思うので、
遠回しに、それとな〜く聞いてみるんですが、上位の理由が
「なんかめんどくさい。そこまではお金も手間もかけたくない」
というのと、
「どうせ今更改善なんてしないでしょ?」
というのと、
「トレーニングなんて、犬が可哀そう」
の3つではないかと。
1つ目は論外!そんな人は犬に限らず動物を飼ってはいけません。
サボテンぐらいにしておきましょう。
2つ目と3つ目に関しては、全然そんなことないですよ。
トレーニングは子犬だけでなくそこそこ大きくなった子たちも受けてますし、
生活に支障がないレベルまで行動修正できる犬の方が多い印象です。
そして何よりトレーニングしている犬たち、いつもとても楽しそうです。
当院からも時々紹介しているトレーナーさんは
とても明るくエネルギッシュで、太陽のような方です。

※別に炎は纏ってません。あくまでも私のイメージ。
そして全身から「犬大好き!」が溢れている方です。
もう何も言わなくても「この人絶対犬好きだな」ってオーラが出ています。
この方、こんなこと言っていいのかわからないですが、
いつも私のことを怖いという院長が「大野先生よりも怖い」というぐらい厳しい方です。
にもかかわらず、犬たちみんなこのトレーナーさんのことが大好きで、
何かを厳しく言われた直後でも、「おいで〜」と広げた腕の中に飛び込んで行きます。

これは本当にすごい!
傍で見ていていつも感じるのは、トレーナーさんは曖昧な態度がない、ということです。
叱る時は口調、声の大きさ、眼光の鋭さだけでなく、後ろから見てても
絶対怖い顔してるんだろうっていうのが背中だけでわかります。
逆に褒めるときは口先だけでなく顔全体、体全体で褒めています。
動物がどこまで人間の言葉を理解しているかはわかりません。
地頭が相当良くて、なおかつ飼い主が密にコミュニケーションを取っている犬ならば、
かなり込み入った話まで分かるのかもしれませんが、
恐らくほとんどの子は言葉の意味ではなく、言葉以外の表情や声のトーン、空気感で
感じ取ってるんだと思います。
待合でも時々見かけますが、吠え続けたりする犬に対して
「〇〇ちゃん、だめよ〜」ぐらいのぬる〜い叱り方、
大抵「だめよ〜」と「いい子だね〜」の声のトーンがほとんど同じなので
犬はそもそも自分が叱られていることに気が付いていないかもしれませんし、
叱ってる方も、「一応私は叱ってますよ〜」というパフォーマンスで
言ってるだけなんだろうな〜と思って見ています。
だから通じるわけもなく、当然吠えるのをやめるわけもない。
トレーナーさんは犬たちとしっかり向き合って、
個々の個性や特性も正面から受け止めて心を通い合わせる、
その熱意が犬たちにちゃんと伝わっているからこそ
「叱られることもあるけど、自分のことをちゃんと考えてくれてるから大好き!」なんだと思います。
トレーナーさんのこういうところ、本当に尊敬します。
年齢も私とほぼ同じで、声の大きさとかも同じぐらいなんですが、犬たちからしたら
トレーナーさんは大好きな先生で、私はただのガミガミ言う鬼ババなわけです。
トレーニングは犬たちに対してだけでなく、
犬たちとどう向き合っているか、どう接しているかなど
飼い主さん側もしっかり指導されます。

犬がそういう行動に出るのには犬なりの理由があって、
飼い主さんの接し方が原因な場合もありますし、
トレーナーさんの言うことだけ聞く子になっても仕方ないですからね。
そんなトレーニングを受けている子たちが参加する運動会。
もし皆さんが思っているような「トレーニングは可哀そう」とか
「怖い先生に委縮しているだけ」というのが事実なら
きっと満面の笑みで参加している子はいないはずです。
でも見る前から私の脳裏には映像が浮かんでいます。
楽しそうに走り回る犬たちが。
私も本当は見に行きたいんですが、何せ日曜日の午前中なので診察が来ますから行けません。
少しでもトレーニングに興味がある方、今後犬を迎えようと考えている方、
トレーニングを勧められたことがある方は、是非足を運んでみてください。
そしてどんなことをしてたか、どんな感じだったか感想を聞かせてほしいです。
ただ、犬の集いに行く前に伝えなくてはならないちょっと大事なお知らせがあります。
昨年の5月31日に【狂犬病ワクチン と 混合ワクチン 打たなきゃダメ?】
の記事を投稿しました。この記事ちょっと長いのですが、
前半部分に犬のワクチンについて書いています。
これ、犬を飼ってる方はもう一度読んでいただきたいです。
なぜなら…近くでレプトスピラが出ました!
犬で発生の報告が義務化されている唯一の感染症が、
感染するとどこから手を付けていいか分からないほど多臓器に影響を与えて
最終的には亡くなってしまう感染症が、
更には犬から人へも感染して重症化すると人も死に至る感染症が、
あろうことか野田市で!
私は野田市民ですが、野田市って実はすご〜く細長くて

こんな形してます。市役所とか警察署とかお店とかは主に南部にあり
北部は田んぼと畑が広がっている感じののどか〜なところです。
川に挟まれているし、河原のネズミからとかかしら…
畜産しているところのネズミからとかかしら…と思ったのですが、
どうやら発見した動物病院はかなり流山に近い南部の動物病院でして、

↑この辺。南部だと円が流山や柏に被る程の近さです。
感染犬がどこからどうやって感染したかは公表されていませんが、
その犬だって南部に住んでいる可能性がありますし、
流山とすぐ隣なので、ドッグランや公園などで
活動圏がかぶっている可能性は大いにあります。
レプトスピラは型が色々あり、全部の型を予防することは難しいのですが、
当院で扱っている8種のワクチンは、そのうちの2つの型を予防できます。
なので、8種を打ってる方はひとまずやれることはやってあります。
問題は5種を打っている皆様。
5種にはレプトスピラは入っていませんので、
もしかしたら…ってこともあり得ます。先述の記事で
「ワクチンの証明書の提示が義務でないドッグランは
証明書を持っていない犬(つまりワクチンを打っていない犬)や、
既に感染している犬が来ている可能性もある」と書きました。
だから、提示を義務化しているところの方が安心!と思ってましたが、
5種を打っているだけだとレプトスピラは防げないので、
「ワクチン打ってるし、提示が義務化されてるところだから大丈夫!」
とはならなくなります。
とりあえず1件発覚しただけなので、今すぐ何かしなきゃってわけではないけど、
レプトスピラの発生している地域であることは
頭の片隅に置いておいた方が良いかもしれません。
その上で、近場であっても野外活動や他の犬と交流させている方は
次回からのワクチンを5種から8種に変えてみるのもありです。
ご心配な方は是非一度ご相談ください。
そもそもワクチンを打ってない方は…
いろんな考え方があり、何を大事にするかは人によって違いますので
強制はできませんが、その犬のことやその子と同じ地域に住む
他の犬や人のことを考えたら、打った方がいいと思いますよ。
◇◆おまけ◆◇
のんさんは時々ちゃんと猫っぽく丸くなって寝ていますが、
今年は2月も結構寒かったこともあり、そのとぐろの巻きが強めでした。
エアコンはつけているものの、やはり寒いんじゃないかと思うことも度々あります。
自宅では寝室のエアコンは我慢して、のん部屋は惜しみなく24.5℃に設定してますし、
ホットマットも数か所設置してるので多分大丈夫ですが、
病院に連れてきたときは流石にそれはできないのでどうしたもんか…
で、いいこと思いつきました。
数年前知人からもらったこちら

蓄熱式の湯たんぽ
コンセントにつないで30分ぐらい充電すると
6時間ぐらいあったかさが続きます。
本来は人間用ですが、専用のカバーをかけるとそれほど熱くないので
寝たきりとかでなければ猫にも使えそうです。
これ、ここ最近とても寒かったのでよく引っ張り出して使用したんですが
充電してると黒田さんが寄ってきます。

本当は黒田が使いたそう…。首の後ろとかに乗せると超気持ちいいらしい。
でも駄目よ。あなたには受付の下にストーブがあるでしょ。
のんさんは背中が寒くてかわいそうなんだから。
と思って、のんさんのベッドに入れてあげたんですが

↑なんか…もしかしてありがた迷惑?
そんな恰好をしてまで上に乗らないようにするなんて…
グニグニする感じが嫌なんでしょうか。
理想的には上にオンしなくても、背中あたりがこれによりかかってほしいんですが、
気が付くと頭を温めてしまっています。

↑のんさん、頭温めたらバカにならない?かーちゃんは心配だよ…。
そんなにとぐろの巻きを強くするなら、ちゃんと乗った方が温かいんですけどね。
伝わらない!
